工業英検1級 第113回 解答解説

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この記事では工業英検1級113回試験解答を独自に解説していきます。お手元に日本工業英語協会が出している第113回模範解答をご用意の上、記事をご覧下さい。

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工業英検1級 第113回 解答解説

設問1 英文和訳

解答2文目 人が集まって〜寄られるものだ。

・”When people are brought together to solve problems in groups,”を後ろから「グループで課題を解決する為に人が集まった時には」とも訳すことはできますが、原則和訳をする際、原文の流れを極力崩さず訳していくのが基本になります。模範解答では、ここを「人が集まってグループで課題を解決する時には、」と前から原文の流れに逆らわず訳しています。こう訳す理由は、「英文翻訳術」という本に詳しく書いています。

・”they biring〜”のtheyは前出のpeopleを指していますが、代名詞は極力訳文から隠すという原則があるため、ここでは訳されていません。これも上記の「英文翻訳術」に詳しく書かれています。

・直接解答には関係はありませんが、”information, opinions and perspectives”の文のandの前にはカンマが省略されています。通常語句を3つ以上並べる場合A,B,andCという表記になります。

解答3文目 このことは〜思い起こしてみればよい。

・「ー」は、ダッシュという記号。ダッシュは、前の語句を説明することと、前の語句を言い換える役割があり、ここでは前者の役割になります。

解答6文目 女性エンジニア〜好ましいことなのだ。

・問題文である英文を省略無しでかくと、”A male and a female engineer might have perspectives as different from one another as an engineer and a physicist  have perspectives different from one another”となる。

先ず最初のasは、「同じくらい」という副詞。asの直後の形容詞であるdifferentを修飾していて「同じくらい違う」という訳になります。

asは副詞なので、これはなくても文は成り立つはずなので、asを抜いてみると、perspectives differentとなります。differentはperspectivesを修飾する形容詞。通常形容詞は修飾する名詞の前に置くので違和感があるかと思いますが、ルールとして形容詞が単語一語よりも多い場合は名詞の後に置くというものがあり、ここでのdifferent from one anotherはそれに該当するのでperspectivesの後にあるのは正しい配置になります。

二つ目のasは「〜するのと比べて」という接続詞。接続詞の後は、SV構造になりますので、上記に書いてある通りas an engineer and a physicist  have perspectives different from one anotherとなるのですが、have perspectives different from one anotherの部分は書かなくても分かるということで省略されています。

設問2  修辞1

解答1文目 Sufficient sleep〜

・この1文目は、トピックセンテンスにあたります。トピックセンテンスは、読み手が文書全体を容易に素早く読むために重要な役割を果たします。トピックセンテンスについては、「技術系英文ライティング教本」に詳しく書かれています。

・問題文は結局「睡眠をちゃんと取ることは健康にいいですよ」ということが言いたいので、解答1文目はこれを簡単な表現で書いています。

解答2文目 A lack of 〜

・is linked toという受動態の表現からresult inという能動態の表現に変えています。能動態の方が強い印象を与えることができ、また語数も減らすことができます。技術系英文は明確にそして簡潔に書く必要があるため、なるべく能動態で書くのが好ましいです。

解答5文目 Enough sleep is〜

・問題文の3段落目は、immune systemが主語になって書かれていますが、ここでの主役はsleepなのでsleepを主語にして模範解答では文を作り直しています。

・セミコロン「;」が使われています。セミコロンの用法は2つあり、1つ目は「2つの文をゆるく関連付けておくこと」、もう2つ目は「コンマを使うとわかりにくい状況でコンマの代わりに使う」になります。詳しくは上記記載の「技術系英文ライティング教本」に書かれています。

設問3  修辞2

<point>

・弱い動詞は、極力使わない。

・形容詞には動詞の補語という役割と名詞を修飾するという2つの役割がある。

・なるべく能動態で書く。

解答1文目 Immunotherapy unleash〜

・弱い動詞であるbringを消して、動名詞のunleashingを動詞に書き換えています。

解答2文目  It has proven〜

・これも1文目と同様、弱い動詞bringを消して、名詞developmentを動詞に書き換えています。

・results that are consistentをconsistent resultsに変えています。results that are consistentのconsistentは動詞の補語にあたる形容詞になります。補語は簡単に言うと、S=Cなのでresults=consistent、つまり「結果は矛盾していない」や「結果は首尾一貫している」などになります。一方consistent resultsのconsistentは、名詞を修飾する形容詞になりますので「矛盾のない結果」や「首尾一貫した結果」になります。results that are consistentもconsistent resultsも意味としては同じなので、より簡潔な表現であるconsistent resultsで模範解答では書き換えています。

解答3文目  Decades of〜

・弱い動詞establishを消して、名詞proofを動詞に書き換えています。

・cancers that are differentをdifferent cancersに書き変えています。これも解答2文目と同じように形容詞の補語を名詞を修飾する形容詞に変えています。

解答4文目  Until the US〜

・enact「規定する」を消して、名詞approvalを動詞に書き換えています。

・expectancy of lifeをlife expectancyに書き換えています。

解答5文目 But new〜

・made it possible forを消して、受け身のextendedを能動態にして文を書き換えています。

設問4  和文英訳1

<point>

・節で、ある言葉を説明したいときに、関係副詞whereは便利。

・括弧の使い方

解答1文目  Superconductivity is a〜

・節で「現象」を表す為に関係副詞whereを使用しています。

解答2文目  It will enable〜

・「〜や〜」をas well asで英訳しています。個人的には普通にandで英訳していいのではないかと感じます。as well asは「だけではなく」と何かを強調したい時に使うので、例えば「彼は英語だけではなくフランス語も話せる」と英語よりもフランス語に重点を置いて表現したい場合にas well as で、He can speak French as well as Englishのように使います。問題文の「電力損失のない送電」と「リニアモーターカーなどに使われる強力な電磁石を作ることができる」は特にどちらかを強調する必要は分脈を見ても無いと思うので、ここではas well asではなくandでいいのではないかと個人的には思います。

解答4文目 However,some materials〜

・和文「液体窒素の温度(-196℃)」を模範解答では”-196℃(the temperature of liquid nitrogen)”と、和文とは逆の箇所を括弧にして英訳しています。括弧は、より詳細に説明する場合や補足する場合に使われますので、当然重要な情報はそのままの表記で、補足情報を括弧で書くことになります。ではなぜ模範解答ではthe temperature of liquid nitrogenではなく-196℃を前に出したかというと、おそらく前文の-269℃と比較する為ではないかと思われます。

設問5  和文英訳2

<point>

・仕様書では強い強制を表すshallをよく使う。

解答1文目  A guard fence〜

・「しなければならない」をshallで英訳しています。仕様書では、工業製品が満たすべき要件を記載する為に、強い強制を表すshallをよく使います。

設問6  テクニカルライティングの応用知識

(2)

・DSPが何なのか分からなくても、問題文からある程度の解答文を書くことが出来ます。DSPと対比されているのがhome-use TVです。そして、この二つの製品に関する技術文書の読者は同じか否かと問われていますが、話の流れ的には読者は違うと判断できるでしょう。また問題文に”Is the product intended for general consumers or experts?”の文があり、これとhome-useの語からDSPはexpertsだと推測することが出来るのではないでしょうか。模範解答では、家庭用テレビのユーザーは、高い技術的な知識を持たない為、製品説明の際には平易な言葉で解説する必要があり、一方DSPはメーカーに向けた製品なので、読者は技術者であり、技術用語を避ける必要がない、という感じで書かれています。

設問7  英文リライト

<User’s manualのpoint>

・youを適宜使う

・操作手順を先に書いて、その後にその手順を行う理由を書く

(2)

問題文の日本文では、「OPENボタンを操作した後、ブザーが鳴動して電動スライドドアが開かない場合、最もよくある原因はドアロックがかかっていることです。OPENボタンを操作する前には、ドアロックの解除を忘れずに行ってください。」と操作の理由を先に書いて、その後具体的な操作方法が書かれています。模範解答では、それを逆にして英訳しています。

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