工業英検1級 115回 解答解説

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この記事では工業英検1級115回試験解答を独自に解説していきます。お手元に日本工業英語協会が出している第115回模範解答をご用意の上、記事をご覧下さい。

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工業英検1級 第115回 解答解説

設問1 英文和訳

出題内容は3つの自動車関連技術について。

解答1文目 2020年までには〜

・head-up display,driver override system,health monitorは全てカタカナ表記。

英文和訳でカタカナで解答していいのは、以下の4つのパターン。

①人名・国名・地名

②カタカナ書き以外に日本語訳がない

→テレビなど

③専門用語

④日本語訳が別音のカタカナ語である

→フロントガラス=windshieldなど

問題のhead-up display,driver override system,health monitorは②に該当します。

・ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)の略語

→略語は初めて出てきた場合にスペルアウトと略語の両方を表記。2回目からは略語のみ。

解答2文目 HUDはこの20年で〜

・come a long wayは「進歩する」。

解答3文目 はじめは〜

・some cars を「一部の車」と和訳。

解答4文目 現在のHUDも〜

・ But as good as the HUD is nowの文構造は正直よく分かりません。as good asは「〜と同等の」の意味。前文でHUDは「はじめはほの暗い色あせた緑色の数字がフロントガラスに映し出されていた」ものだったと書いていて、現在はそれよりも多少進化していていいものになっていることを、言いたいのだと思う。

解答5文目 例えば〜

・文頭にImagineがきてるので、直訳すると「想像してください」になるが、解答では、「例えば〜だ。」と和訳している。

解答7文目 自律運転の関連技術であるが〜

・but it is different becauseの部分は、itが「ドライバー・オーバーライド・システム」のことで、differentは「(自律運転技術とは)違う」ということ。そしてbecauseで違う理由を説明しています。

解答8文目 ブレーキを踏み忘れても〜

・floorは「アクセルを床まで踏み込む」という意味がある。has the gas pedal flooredは、has 目的語 過去分詞の形。has は使役動詞です。

解答13文目 しかし、ウェアラブル〜

・ウェアラブルとは装着型のコンピューター搭載機器のこと。Apple watchなど。

・ここで言いたのは、従来は自動車メーカーはシートベルトやハンドルにセンサーを取り付けて、運転者の健康状態を把握することを考えていたけど、Apple watchなどのウェアラブル機器が発達したきたので、センサーをわざわざシートベルトやハンドルに取り付けなくてもウェアラブル機器からワイヤレスで車に情報を渡せるようにすればいい、ということ。

出題単語

override/無効にする   vibrant/鮮やかな  highlight/強調する  autonomous/自主的な

preview/試演する vital/極めて重要な、命に関わる

その他出題される可能性のある自動車関連テーマ

・燃料電池自動車(Fuel Cells Vehicle)

化石燃料の代わりに水素と酸素を使用して、電気を生産し、その電気エネルギーを使って、モーターを回して走る自動車のこと。

設問2 修辞1

3Dプリンタに関する問題。

解答1文目

解答の最初の1文目は、問題文の1文目をダッシュで囲まれた文だけ省いてあとはそのま

まの文で使われています。

→ダッシュ「-」は、付加的な情報を入れる時に使います。

解答2文目

問題文の第1段落の2文目と3文目を、分詞構文と接続詞andで、1文にまとめています。形としては、

“AカンマB and C.”で3つの情報を1つの文で表しています。またAの部分は分詞構文(Invented)、Bの部分は現在完了形(has been used)、Cの部分を現在進行形(is evolving)と書くことで、過去のこと、今までやってきたこと、今し始めたことを1文で表せています。

分詞構文のInventedは、過去形で書かれていますが、文頭にbeingが隠れています。

問題文のhas additionally started to evolveの箇所は、現在進行形にすることで、wordを減らせています。またa next-generation manufacturing technologyの情報(that以降の文)はカットされています。

ここでのpoint

♦分詞構文と接続詞andを使うことで、大幅にwordを減らすことができる。

♦has started to 動詞は、現在進行形で表せる。

解答3文目

解答3文目は、問題文の第2段落を要約した文になっています。問題文の第2段落の1文目Aready〜food.の箇所は、a wide range of〜で3D プリンターが扱う具体的な素材を述べてますが、枝葉の情報ということで、解答では全てカットされています。a wide range ofは問題文の第3段落でも出てきますが、そこでもカットされています。

問題文の第2段落の”has the potential〜 “は、

「〜の潜在を有している」→「将来は〜することができる」

という解釈で未来のことを表しています。ということで、解答文では、willを使ってこの箇所を置き換えています。

ここでのpoint

♦a wide range of〜などで表される情報は、枝葉の情報のことが多い。

♦potentialは未来のことを表す。

解答4文目

解答4文目は、問題文の第3段落を要約した文。問題文1文目(第3段落)はencompasses a wide range of〜で、枝葉の情報。2文目も1文目の説明ということで枝葉の情報。3文目が核の情報ということで、この文を微修正したのが解答にまります。

(CAD)の箇所は、通常「スペルアウト+略語」という表記で問題文は正しいのですが、その文以降この単語は出てこないのでわざわざ略語を書く必要はありません。2回目以降に出てくる場合は略語だけで表せるので、略語を書くメリットはありますが

出題単語

additive/付加的な evolve/発展する、進化する  thermoplastic/熱可塑性の

composite/合成物 ceramic/陶磁器の  synthetic/合成の radically/根本的に、完全に

encompass/含む

設問3 修辞2

解答1文目

with the inclusion of our sonを,including our sun, に書き換えてます。これは分詞構文が文中にあるパターンになりますが、分詞構文でコンマの有る無しの違いについては以下の通り

①I ran around the park listening to the music.(コンマなし)

②I ran around the park, listening to the music.(コンマあり)

→①の場合、listeningの主語がthe parkになってしまいます。②の場合は、listeningの主語はIになり正しい文となります。

ここでのpoint

♦分詞構文のコンマの有る無しは意味が異なってくる。

解答2文目

Systems of binary starsをBinary stars systemsに書き換えています。工業英語では、名詞の連続した表現を頻繁に使います。この表現によって明確にかつ簡潔な文にすることができます。この名詞と名詞が連なることを、名詞が形容詞のように働くので「名詞の形容詞的用法」と言います。

Binary stars systemsの場合、Binaryとstarsは形容詞的名詞になります。形容詞的名詞は複数個あっても構いません。

ここでのpoint

♦名詞の形容詞的用法は、明確で簡潔な文を書く際に使える。

解答3文目

as many as 80 percentをup to 80 percentに書き換えていますが、これはよく分かりません。「as many as 数字」だと、〜もの数、〜と同等の数のようにになりますが、「up to 数字」だと、最大〜までの数字、のようにmaximumのような意味合いになるので、意味が少し違ってくるのではないかと思います。

解答4文目

・The meaning of a wide binary is thatをA wide binary means  thatに書き換えています。工業英語では、動詞(特に能動態)で書くのを良しとします。名詞の形として隠れている動詞を、動詞に書き換えるだけで、文を明確にすることが出来ます。

・in excess ofをmore thanに書き換えています。

・ー500 times〜、の「ー」はダッシュです。ここでのダッシュは、前の情報を詳しく説明する役割になっています。

ここでのpoint

♦名詞として隠れている動詞は、動詞の形へ

解答5文目

・The distance, which is large, means をThe large distance meansに書き換えています。

「, which is large,」は関係代名詞の非制限用法で工業英語ではよく使用しますが、ここではまどろっこしい表現になってしまい不要です。

・pull of gravitationをgravitational pullに書き換えています。A of Bの表現は、BのAというように訳されると思いますが、これは形容詞+名詞で書き換えられます。工業英語では、より簡潔な文章を書くことが求められますので、of が出てきたら消せるかどうか都度考えましょう。

・a crowed of stars that are in the backgroundをa crowed of background starsに書き換えています。

ここでのpoint

♦ofが出てきたら消せるかどうか考える

出題単語

molecular/分子の  binary/連星の astronomical/天文の

設問4 和文英訳1

解答1文目

(太陽光発電) is (技術) that〜.が骨格。that以降で技術の説明をしています。

太陽光発電は、そのままsolar power generation。

「電気を生み出す」の部分は、converts solar light into electrical energy or electricityで英訳されています。個人的には、converts solar light into electrical energy ,and produces electricityなどと英訳した方がいい気がします。

解答2文目

和文の2文目を二つに分けて英訳しています。無理に和文に合わせて1文にこだわらなければ、英訳も楽になります。

「太陽電池を用い、直流の電気を発生させ」の部分は、主語をどうするか迷うところですが、工業英語では無生物主語が好まれるので、ここでは模範解答のように太陽電池を主語にするのが望ましいと思います。

「パワーコンディショナーを経由して」を思い切って、by power conditionersと英訳しています。和文通りに英訳する必要はなく、意訳でもいいということがここから分かります。

ここでのpoint

♦長い和文は、無理せずに2文などに分けると英訳も楽になる。

♦主語に迷ったら無生物主語で。

♦和文通りに英訳しないといけないわけではなく、意訳でもOK。

解答3文目

thenを文頭に置くのは正しい使い方です。

ここでも無生物主語。

解答4文目

「〜が発祥であるが、現在では〜」をbutなどの接続詞を使って、1文にもできますが、模範解答では無理をしないで2文にしています。

和文には主語が書かれていませんが、話の流れとして「solar power generation」が主語であると分かります。模範解答では、これをThe technologyと言い換えています。この言い換えがなかなか難しいんです。

「宇宙事業における電力調達がそもそもの発祥」をThe technology was originally developed to supply electricity for space programs と英訳しています。工業英語では、動詞が好まれるので、動詞として隠れている名詞を見つけて動詞にするのが重要になってきます。もし動詞に出来なければ、次は不定詞に出来ないか考えます。「電力調達」をto supply electricityに英訳し、そして「発祥」をoriginally developedに意訳しています。

ここでのpoint

♦名詞は動詞に出来ないか常に考える。動詞に出来なければ不定詞に出来ないか考える。

解答5文目

has now become prevalent と現在完了形で表しています。

「〜できるまで」をenough to beで英訳しています。なかなかこの発想をするのが難しい。

「一般建築設備」をcommonplace apparatusと大きく意訳しています。装置や器具、設備などの場合、とりあえずapparatusで英訳すれば点数はもらえそう。

ここでのpoint

♦ 詳しい単語が出てこなければ、apparatusなど広い範囲で使える単語をとりあえず使う。

解答6文目

「〜という利点がある」をOne advantageを主語にして英訳している。

ここでは、利点を持つ者をthe systemで表している。全体の文中では、solar power generation、the technology、そしてthe systemと3種類の異なる言い方で英訳している。

「緊急停止時」を動詞を上手く使って、when power suddenly failsと英訳している。

設問5 和文英訳2   マニュアル文書

マニュアル文書の書き方のポイントとしては

・命令文を使用する

・時系列で書く

・工業英語ではあまり使わないyouを、時には使う

です。

解答 タイトル部分

・「リモコンを埃が発生する環境で使用する場合」をマニュアル書のタイトル部分にしています。

・ladenはladeの過去分詞。

解答 箇条書き1つ目

・「オプションの」を、関係代名詞の非限定用法で英訳。非限定用法は、付加的に説明したい時に便利です。

・「〜に入れる必要がある」を

→Put the remote controller〜「リモコンを防じんリモコンボックスに入れて下さい」

→The remote controller is susceptible to dust「リモコンは埃に影響を受けやすい」

の2文で表しています。

ここでのpoint

♦関係代名詞の非限定用法は付加的に説明したい時に便利。

解答 箇条書き2つ目

・当たり前だとは思いますが、andの前のコンマは必要です。2つの完全な文を繋ぐケースなので。

解答 箇条書き3つ目

・「〜を行うことも重要です。」となっていますが、これを命令形で表しています。

出題単語

susceptible/影響されやすい、感染しやすい dustproof/防じん

設問6 テクニカルライティングの応用知識

問2

・名詞句である”central processing unit address selection circuit process termination signal”を誤訳する可能性としては、どういうものがあるか?というのがこの問2の問題。句とは複数の語からなるものをいいます。”the white cat”などが名詞句。

・この問題でのpointは、「名詞句(central processing unitなど)を作る際に、単語同士をくっつける作業で、あまりに単語が多いとどこからどこまでの単語をくっつけて名詞句を作ればいいのか分かりずらく訳す時に間違いが起きますよ」ということです。

・”central processing unit address selection circuit process termination signal”の名詞句を詳しく見ていくと、

“central processing unit”   “address selection circuit”  “process termination signal”の3つの名詞句に分解出来ます。さらに詳しく見ていくと”central processing unit”は”address selection circuit”を説明する形容詞的な役割を持つ名詞句、address selection circuit もまたprocess termination signal を説明する形容詞的な役割を持つ名詞句になります。問題文にある通り、前置詞を入れると、”process termination signal for the address selection circuit of the central processing unit”となります。

それぞれの名詞句をさらに細かく見てみると”central processing unit”のcentral とprocessingは形容詞的名詞で、和訳すると「中央で処理する単位」になります。同じように”address selection circuit” のaddressとselection は形容詞的名詞で「アドレスを選択する回路」になり、”process termination signal”のprocess とtermination も形容詞的名詞で「プロセスを終了する信号」になります。

・解答としては、名詞句(central processing unitなど)を作り上げる時に、単語の区切りをミスするパターンを書けばOKです。模範解答では、”process termination signal”と名詞句で括るべきところを”terminal signal”に、”address selection circuit”とすべきところを”the selection circuit process”に”central processing unit”にすべきところを”the processing unit address that is central “となっています。

どういう区切り方でもミスするパターンを書けば点数は貰えると思います。

問3

・模範解答では箇条書きで解決策を書いています。

・「ライターに意識させる」や「指導する」、「スタイルガイドを設ける」など、自身が上の立場になった場合の対応が解答の表現として書かれています。

工業英検1級のレベルは、「工業英語の専門家としての実務能力を有しているレベルで、実務上工業英語を指導できる者」と公式サイトでは定めていますので、指導する立場で起きる問題を考えておく必要があるということです。

ここでのpoint

・解答は箇条書きなど、分かりやすい表現でOK

・工業英語を指導する立場で起きる問題が出る

設問7  英文リライト

問1:正しい句読点とスタイルを使用して仕様書をリライトしなさい

・タイトルを簡潔にリライトしています。無駄な前置詞、be 動詞などを削って、名詞のみで表しています。

・数字の表記について

2 1200 W AC→Two 1200 W AC

[数字の表記のルール]

→単位記号の前の数字は算用数字で表記。

→1~9はスペルアウトし、10以上は算用数字

→10以上の数字でも文頭にあればスペルアウト

・補足情報は()で表示。

(The second power supply is for redundancy)

・単位は揃えて表示。「〜」はtoに。

AC100〜240V→100 to 240 VAC

・冗長表現を簡潔に表記

Operating temperature range→Operating temperature

Operating humidity range→Operating humidity

問2  セミコロンについて

・セミコロンの用法

1)関係のある2つの文をつなぐ

→最初の文のピリオドを代用してセミコロンを使用。ピリオドとは違い、セミコロンは「2つの文を柔らかく関連付ける」ことができる。

2)コンマを含む長いフレーズを区切る

→Airplanes fly, between air ports, requiring nothing constructed in-between;trains travel between stations, requiring rails to be laid between the stations; and cars travel everywhere ,requiring roads.

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