独学で気象予報士試験合格を確実にする戦略[学科試験編]

学科試験対策
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本記事の結論

戦略❶解説が充実した過去問から勉強をスタートさせるのが合格への一番の近道

→過去問演習では「気象予報士過去問徹底攻略」、「気象予報士試験精選問題集」の2冊がオススメ

戦略❷テーマごとにpointをノートなどに書き出してまとめておく

→「雪」や「台風」、「潮位」などテーマごとにpointを書き出しておくと、知識が整理される

→細かい知識の確認は「気象予報士かんたん合格テキスト・一般知識編」、「気象予報士かんたん合格テキスト・専門知識編」、「気象予報士 完全合格教本」の3冊を駆使する

→テーマごとにまとめておくと実技試験の勉強にも効果的

戦略❸最新の変更点は必ず確認

→気象庁から発表される最新の変更点は、高頻度で出題される

→やみくもに変更点を覚えるのではなく、変更点とその周辺の知識も確認していく

戦略❹「気象予報士試験模範解答と解説」で総まとめ

→最低5年分の過去問を解いて総まとめ

戦略❺計算問題が苦手な人は、「気象予報士試験大気の熱力学・力学徹底攻略」、独学文系から難問大気の力学・熱力学を完璧にマスターするための計算問題集

で計算問題を克服

数年前に独学で気象予報士試験に合格。1回目の受験では、一般知識、専門知識共に不合格。2回目は一般知識のみの合格で、専門知識で不合格。学科免除があったにも関わらず、2年放置して再度受験。3回目で一般知識・専門知識試験、実技試験に合格。

この記事では、私が学科試験合格のために実践した勉強法や使用した教材を紹介していきます。

独学だとなかなか勉強の進め方で迷うかと思いますが、この記事で紹介する勉強法も一つの選択肢として参考にしていただければと思います。

また実技試験の勉強法は以下の記事にもまとめていますので参考にしてみてください。

独学で気象予報士試験合格を確実にする戦略と勉強法[実技試験編]

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戦略❶:解説が充実した過去問から勉強をスタートさせるのが合格への一番の近道

私が1回目、2回目の受験を失敗した原因の一つは、参考書から勉強して問題集を解くという勉強法を選択したことでした。

気象予報士試験の多くの参考書は、試験で出題されないこともたくさん書かれています。

最初はどこが出題されるかも皆目検討がつかないと思いますので、

私は、先ずはじめに過去問を実際に解いて、どのようなことが気象予報士試験では問われるのかを把握し、そして細かい知識などは参考書で確認する

勉強法を断然オススメします。

そして、過去問集は、大きく以下の3冊が出されていますが、先ずは①気象予報士過去問徹底攻略②気象予報士試験精選問題集をやることをオススメします。

理由は、解説が充実していて、かつテーマごとに問題が分かれているので、知識をインプットしていくのに適しているからです。気象予報士試験模範解答と解説は、テーマごとではなく1回1回の試験をそのまま紹介しているもので、いわゆる純粋な過去問集になります。この過去問集は、解説がそこまでついていないので、ある程度知識が身についた後に問題演習として使うのがオススメです。

①気象予報士過去問徹底攻略

学科試験(一般知識、専門知識ともに)対策で私が一番オススメする書籍が、この「気象予報士過去問徹底攻略」です。学科試験の勉強の大半をこの書籍で対応して合格することができました。この本は1問が見開きになっていて、左が問題右が解説で構成され、見やすく使いやすくくなっています。問題数が豊富で、解説もしっかりしているので、参考書としても十分利用可能です。最初は問題を解いても分からないかもしれませんが、解説をよく読めば2周目以降は解ける問題も徐々に増えていきます。

難点としては、古い情報が散見されることと、文系出身者が難しいと感じる問題(湿潤断熱減率や発散収束、温度移流など)の解説の内容が若干薄いことがあげられます。

②気象予報士試験精選問題集

こちらは、テーマごとに過去問を解いていく問題集になります。「気象予報士過去問徹底攻略」と同様、解説が充実しているので知識のインプットの段階では非常に有効な問題集です。

気象予報士試験模範解答と解説

過去問を解いて解説を読んでを繰り返していけば、どんどん知識は身についていきます。

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戦略❷テーマごとにpointをノートなどに書き出してまとめておく

気象予報士試験の学科試験では、膨大な量の知識を暗記しなければいけません。私の受験経験では、

テーマごとにpointをまとめておくと膨大な知識も覚えやすくなり、かつ実技試験の勉強も効率的に進めることができる。

と思っています。

例えば過去問を解いていて、「雪」についての問題を解いた時に、以下のように雪に関するpointを書き出しておきます。

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・日本海側で大雪になる場合、山雪型里雪型の2つがある。
山雪型の特徴として、地上では北西の季節風が強い場合で、地上の等圧線は南北方向に密な分布をしている。上空500hPaでは北日本に寒気中心があり、日本海で等高線が密で気圧傾度が大きく風が強い。
一方、里雪型の特徴は、地上の季節風は比較的弱く、地上気圧は等圧線間隔がやや広く日本海に袋状の気圧の谷が見られることが多い。上空500hPaで日本海に寒気を伴う気圧の谷が見られる。

・気象庁では2020年3月から二重編波気象ドップラーレーダーの導入を開始した。これは、水平方向と鉛直方向に振動する電波のパルスを交互に発射し、雨雲を通る時の水平・垂直偏波の性質の違いから、雲の中の雨や雪の種別判別やこれまでより降水強度をより正確に推定できるようになった。

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こうすることで、次「雪」に関する問題を解いた時に、自分で書き出したpointを見返すことで、テーマに沿って知識のreviewを行うことができて知識を整理することができます。

また、テーマごとにpointをまとめておくと、実技試験の勉強をやる時に効率的に行えるようになります。実技試験の勉強は、よく学科試験の知識が重要と言われますが、これはその通りです。学科試験の知識を土台にして、実技試験の問題を解いていくので、実技試験の勉強中も学科試験の知識を確認する場面が多いです。その際に、パッとpointを確認できるものを手元に持っておくと勉強効率が格段にあがります。

テーマごとにpointをまとめていく上で、使える参考書

上記で話したように、過去問を解いて都度テーマごとにpointを書き出していきますが、その際に使える参考書をご紹介します。

「らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト学科・一般知識編」

らくらく突破シリーズは、現状気象予報士試験対策としての参考書の中では、内容、価格からみてダントツオススメの参考書です。pointをまとめる以外にも、辞書代わりとしても使えます。

気象予報士 完全合格教本

これは、過去問で紹介した「気象予報士過去問徹底攻略」の参考書版として出されているもので、互換性もあるので「気象予報士過去問徹底攻略」と併せて使うことをオススメします。

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❸最新の変更点は必ず確認

私は、2回目の受験時は一般知識のみの合格で、専門知識で不合格でしたが、専門知識はあと1問正解していれば合格でした。不正解した問題の中に、最新の変更事項に関する問題があり、最新の変更事項を確認していなかったことを非常に後悔しました。

気象予報士試験では、最新の変更点が頻繁に出題されます。例えば、最近ですと2018年6月に降水短時間予報の予報時間が6時間先までから15時間先までに延長されましたが、その翌年度の気象予報士試験で降水短時間予報の問題が出題されました。
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[過去出題例(令和元年度・第2回・専門)]
気象庁は、2018年6月、降水短時間予報の予報時間を6時間先までから15時間先までに延長した。この降水短時間予報について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から一つ選べ。
(a)15時間先までの降水短時間予報は、夜間から明け方に大雨となる見込みを暗くなる前の夕方の時点で提供することから、早めの防災対応に繋がることが期待される。
(b)降水短時間予報は、1時間ごとの1時間降水量を、6時間先までは1km四方で、7時間〜15時間先までは5km四方で予報している。
(c)7〜15時間先の降水短時間予報は、メソモデルと局モデルを統計的に処理した結果を組み合わせて作成している。

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解答:①
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独学で試験勉強をしている場合、市販の参考書や問題集を使うと思いますが、それが最新の教材でない場合、上記のような直近の変更点の問題で失点する可能性が出てきます。

下記の記事に、独学で勉強されている方に向けて、気象庁から発表される最新の変更点、並びに気象予報士試験合格のために覚えるべきpointなども併せてご紹介していますので、参考にしてみてください。

[気象予報士試験対策]最新の変更情報まとめ

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❹「気象予報士試験模範解答と解説」で総まとめ

学科試験対策としての総まとめが、「気象予報士試験 模範解答と解説」での問題演習になります。

上記でご紹介した「気象予報士過去問徹底攻略」などは、最新の問題傾向にあまり対応していないですが、直近の年度の「気象予報士試験 模範解答と解説」を解くことでそれを補うことができます

量としては、最低5年間分は解くことをオススメします。ちなみに私は10年分買って解きました。

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❺計算問題が苦手な人は、「気象予報士試験大気の熱力学・力学徹底攻略」、独学文系から難問大気の力学・熱力学を完璧にマスターするための計算問題集で計算問題を克服

私は独学文系で気象予報士試験に挑戦しましたが、最も苦労したのが一般知識の計算問題でした。ここでは、私のように計算問題が苦手の方に向けて、2冊ご紹介します。

「気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略」


気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略 (資格試験らくらく合格塾)

気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略は「湿潤断熱減率」や「発散・収束」、「温度移流」など、学科試験で文系の人が難しいと感じる「大気の熱力学」と「大気の力学」の過去問のみを集め、解説した問題集です。少し古い問題を扱っていますが、熱力学・力学の力をつけるにはうってつけの本です。この科目に特化した本はあまり無いので計算問題が苦手の方には貴重な本になると思います。ただし、現在この書籍は、入手が困難になっているため、独自に大気の力学・熱力学について対策集を作成しました。

独学文系から難問大気の力学・熱力学を完璧にマスターするための計算問題集

独学文系から難問大気の力学・熱力学を完璧にマスターするための計算問題集

上記で話した通り「気象予報士試験 大気の熱力学・力学徹底攻略」は、入手が困難のため、独自に大気の力学・熱力学についての計算問題集を作りました。これは合格時に自身が大気の力学・熱力学について理解したことを全てまとめています。こだわったのは、計算問題など文系の人が苦手とする部分の解説です。是非参考にしてみてください。

以下問題集の抜粋になります。

[第33回試験・一般知識・問8 類似問題]
図のように、 北半球中緯度の自由大気中およびその直下の地上付近の大気中で 等圧線が同じ間隔で分布し、 気圧傾度力、 コリオリ力、摩擦力(地上付近のみ) が釣りあっている。 等圧線と風の向きのなす角は、 自由大気中では 0°、 地上付近の大気中では30°とする。 このときの地上付近の大気中の風速の、 自由大気中の風速に対する比の値に最も近いものを、 下記の①~⑤の中から一つ選べ。 ただし、 自由大気中と地上付近の大気中での空気密度は同じで、 摩擦力は風の向きの反対方向を向いているものとし、 sin30 =0.50、 cos30°=0.87とする。 また、 図は力の釣りあいを模式的に示すもので、 矢印の向き、 長さは正確ではない。

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① 0.2倍 ② 0.3倍 ③ 0.5倍 ④ 0.9倍 ⑤ 1.3倍

解答:④
解説
この問題のpointは、設問から自由大気中と地上付近で気圧傾度力は同じなので、地上付近の気圧傾度力とコリオリ力の比が、そのまま自由大気と地上付近の風速比になることです。順を追って説明していきます。
自由大気中では、 上の図に示されているように、 気圧傾度力とコリオリ力が釣り合う地衡風平衡になっています。

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続いて地上の大気を見ていきます。気圧傾度力は、自由大気中と同じで等圧線と垂直。摩擦力は風が吹く方向と逆向きに、コリオリ力は直角に働きます。そして、摩擦力とコリオリ力の合力は、気圧傾度力と釣り合っているので、気圧傾度力と逆向きに同じ力が働きます。

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設問に「自由大気中およびその直下の地上付近」と言っているので、自由大気と地上は緯度が同じです。緯度が同じということは、コリオリ力の2wsinQの部分(コリオリパラメータ)が同じということが分かります。

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また設問から自由大気と地上の気圧傾度力が同じなので、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力と摩擦力の合力が等しくなります。

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ということで、地上のコリオリ力と摩擦力の合力(=自由大気のコリオリ力)、と地上のコリオリ力の比率が分かれば、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力の比率が分かります。
上記で説明した通り、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力の2wsinQの部分(コリオリパラメータ)が同じなので、それぞれの風速の比率は、それぞれのコリオリ力の比率と同じになります(下図参照)。
あとは三角比の知識で解くことができます。下図の①合成力が斜辺、地上のコリオリ力が底辺に相当しますので、②=cos30°×①
となり、設問でcos30°は0.87と与えられているので、これに一番近い4の0.9倍が正解になります。

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コメント

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